中途
【中途】
はじめから点火されたさだめがあって
そののち渡河がふくざつにのびる
ゆくさきの刻々をも点火する
もののはじめに消されてあるから
その中途がおそろしさを得る
なあ、聴いただけでだれとわかるのか
はじめではなく中途がおもっている
みえない環界とのぶつかりには
ほんとうの世界内が漏刻している
むきだされたみごとな腰となって
いやらしい絵すがたを塵へ返す
だれであるか消された腰だけうかび
なかせるまでまやみをまどわせる
やがてほのかに肉がひらかれてゆく
なあ、中途を貫いてだれとわかるのか