複観音
【複観音】
はださむい露の気がしずんで
ゆくべきところがしたたっている
鍵なくして樹間もひらかれ
そのままこころがまなざしとなる
あつまるのではなく点在する
おんなたちの蒼眉をこのむ
そのための樹間がひとつひとつ
なぜ四肢がきれいなすぼみで
ながれまとまっているのか
てのひらにあまる蕨束みたいだ
すうにんとまじわることが
さらにかすかなひとりをつくる
ふくすうをいつでも数珠にしたい
すれちがう露ならつなぐだろう
あゆみへのまれるまむかいが
すでに(おんなの時制だ、)
きえのあらわれる離反すらもつ