オンデマンド詩集三冊同時刊行
ぼくの思潮社オンデマンド詩集三冊が、アマゾンにて注文サーヴィス開始となりました。昨日深夜、亀岡さんから電話連絡があり、その後、未明の3時すぎまで、発送作業に追われました。思潮社オンデマンドの経験者、宮尾節子さんが発見してくれたのですが、アマゾンのオンデマンド・サーヴィスには「ギフト」という機能があって、アマゾンから届け先に直接、製本・発送できるのです。これでコンビニへ行く手間と自分の送料負担が省けることになりました。宮尾さんには大感謝。
三冊同時オンデマンド刊行(田中宏輔さんの偉業に倣った)の具体的内容は以下です。
●『空気断章』 収録詩篇作成時期2013.7~2013.11 100頁 1200円
比較的すっきりした詩的断章をノンタイトルで100篇収録、構成の透明性を目指しました。それぞれの断章もみじかく、余白が多いので、あんがい速く読めるとおもいます。往年の平出隆さんの『胡桃の戦意のために』を意識しました。
●『静思集』 収録詩篇作成時期2013.11~2014.4 163頁 2000円
これも断章集ですが、各篇は流し込みになっていて、三冊のなかで最も文字量が多いです。詩的散文と哲学的論文の混淆を当初もくろみながら、それが明瞭な詩性だけの断章へと崩壊してゆく「弱体化過程」が辿られてゆくはずです。小説性を断章で追求した保坂和志『カフカ的練習帳』を、詩性の側から逆照射した恰好です。奇書とよばれるかもしれない。
●『陰であるみどり』 収録詩篇作成時期 2014.5~2014.8 155頁 1800円
これは改行詩72篇の集成。各詩篇はすべて見開き単位に収められています。『ふる雪のむこう』の冬にたいし春以降の推移をとらえた続篇的な内容ですが、定型性は意識されていません。聯間空白のある詩篇と、詩行隣接連続の詩篇がまざりあっています。三冊中、最も了解性がたかいのではないかと予想しています。
すべてA4正方形変型、デザイン=中島浩さんで、版組も一頁25字詰18行で統一されています。字が大きく組まれているので、熟読にも馴染むとおもわれます。それと、どの詩集でも静寂を結果するのではないか。
11月にはいってのオンデマンド刊行となってしまいました。ご存じのようにこの時期には、年末の収穫アンケートの回答〆切が意識されて、ほとんど毎日のようにさまざまなひとから詩集が投函されてきます。応接にいとまなく、ふつうの勤め人ならすべて読むのを諦めるしかないでしょう。その意味ではせめて10月初旬に出したかったのですが、デザインの面で進行が遅滞してしまいました。
三冊全部をお送りしても、アンケートの回答〆切までに読み切れないだろうこと、また、三冊同時送付の自己負担が5400円にまで跳ねあがること、これらをかんがえ、最も手軽に読めるだろう『陰であるみどり』をお送りすることにしました。お送りするのは、詩集をふくむ拙著に何らかの好意的なコメントを雑誌公表したかた、今年具体的なやりとりのあったかた、ネットに馴染んでいないだろう畏敬する先達にかぎらせていただきました。ただしアマゾンのギフト送付は送り先の電話番号を記載する必要があり、それを把握できず、まだ送れないままのかたもいます。
オンデマンド詩集には、著者自身がアマゾンにオンデマンドすることで、買い上げ時の自己負担がおおきいというデメリットがあります。それで詩集恵贈先を絞り込むしかありませんでした。興味をおもちのかたは、アマゾンにご自身でご注文いただけると助かります。
なお、思潮社オンデマンド詩集の価格体系に、わずかな変化がありました。当初このシリーズは一頁10円相当と、格安の値づけだったのですが、現在は頁数×10倍よりもやや高い価格設定となりました。これまでのA5変型とはちがうA4正方形判ですし、文字数が以前より多くなっているものもある。それで頁数と文字数を勘案して、若干の値上げが敢行されたもようです。もともとオンデマンド詩集の廉価性は、通常の詩集出版の価格秩序を攪乱するかたむきのある点、重くみられた、ということでしょうか。
ともあれ、三冊のオンデマンド・サーヴィスが開始されました。ぼくの名をアマゾンで検索すると、頁トップに三冊が出てきます。とりあえず覗いてみていただければ。