mixi田中宏輔さんの卵シリーズに書き込んだ卵の詩歌句
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卵にも十戒ありて闇割るる
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ノアの舟卵を運べりそこ火星
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プロミスト・ランドは千の鶏に千の卵を抱かしめる風
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卵帝の回想の黄身あかねさす
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見し卵の下なる千の卵かな風の爪弾き「カノン」を奏づ
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若きネロよ汝が驕慢の美(は)しければのみどうるほす卵を禁ず
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このひと日卵として生く彼方には風に溶けあふ黄身や白身や
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卵殻の真粗き肌理を憎みゐてこの乱心を磨き温めむ
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卵料理の卵の香りふるとしは母を火刑に処してほほゑむ
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食べ過ぎし卵のゆゑにはつなつは鶏の貌して泪し死なむ
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割れやすさ吾(あ)にも累卵にもありて恋は錆びたる銀杖振るふ
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箔のごと卵を焼けり薄闇は闇うすくして黄金(こがね)の予感
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熱もたぬ焔のままに卵炎ゆこの眼のなかに殻ちりばめて
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幽界の卵三つが朧ろにて
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一卵を考へ世界の卵おもふ地上なべても水引きし湖(うみ)
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悪徳は卵形をなす球もちて露ぶかき野を恨み歩けば
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闇はひくたびに
黒い泡の代りに
黒い卵を鳩尾においてゆく
鳩尾に
びつしり並ぶ
黒き卵