車
【車】
ひとつの意識がたやすく
べつの意識へつながれるとき
ばけもののくちが
べつのばけものの尾を
あおく噛んでいるのではないか
だんぜつがむすばれるさまは
暴風雪でおれかかった樹が
それでもかたちにまとまっていたり
ふきだまりが雪面をもりあげる
眼路のとじられかたに似る
すべてほんとうの個別が
外貌ではなく内界にあるのを
ただ外貌だけがあかさない
おのれをくみしく体位だって
ふきだまりの雪のように粉となる
そこでは意識上の二ではなく
まわりから判別できない
瘤どうしがたたかっている
ぜんたいに似ようとゆれるが
それぞれの脚がくるまみたいだ