杖
【杖】
くりかえさないひけつは
まるくあゆみながら
たいくつのたすけをかり
おもう中心をずらしてゆく
からだのよわさかもしれない
井戸が周にちらばる土地で
ひかるものは石のなかにある
ダウジングのもたらす震動音を
ひとの詩のはじまりにいつも聴き
みずからをずれてならぶ鉱脈が
かたちの音階を奏でだす
もどるためにこそ杖はあり
すべてはじまりも再開にみたない
えいえんは乱視のようなものだ
となりにしらない色がまざり
幾春別だった雪の名もうつくしい
からだの杖が脚をこえて背丈となり
めぐりをむしろささえるからだで
うるむ空洞をあるくようにする
みえずくりかえさず詩をえてゆく