栓
【栓】
あき壜というより
くうき壜のちらばるまちで
ゆきなかへくうきを
ゆるりとひろげるため
栓をぬくしごとについた
くうき壜は縦のなみだに似て
郊外をつづいているので
しばしばはおんなを
あいてにする錯覚へおちた
しんしんとゆきのふる
ひるにのみくうき壜をみとめた
ぜんたいの流線形がきれいで
うちがわの稀薄なものは
みんなうす目をあけていた
がらすがからだとなることは
壜においては立棺なのか
みずからで壜がみちるさなかを
だましだましぬきとってゆき
ぬいたその栓をどうしたのかを
あるきながらわすれていった