点
【点】
にじんでゆく点をみるとき
ひそかにおそれるのは
じぶんがなみだしている
のではないかということだ
にじむ遠点を眼路にこしらえる
不敵さもあっていいだろう
それが都合よくとければ
とおさまでもが我有される
そのようにして反響から
身をうごかした日があった
なみだにぬれてあるきうつり
とおりすぎてゆくまに
あの点にはながさがあると
手のようにゆびもあると
みることがみだれはじめる
なにかを点がつかむのは
眼がそれ以外をかかわらせ
こころなく点をころすためだ
いま点の周囲さえくずれきって
そのくずれへと一身がむかう