嚢
【嚢】
嚢、ということばは
おなじふくろでも
紙などにはつかえず
そこにひふや肉が
かならずまつわってしまう
ふるい酒をいれる革嚢や
とおいこころをいれる詩嚢が
なかみのあるものの風韻を
たたえだすのはふしぎで
からだが鳴る破れ袋としても
嚢ならばかすかな色をおび
からだへさまざまわけいって
おのれを百の形式にするだろう
それでも中断が嚢となった
ゆきおろし中の寝釈迦ポーズ
そのうすみどりを平屋根にみた
あわれ内に人をたした肉が
色身を幾重にもつくりなして
しごとへそらをいれているのだ
たかさをふくらませようと