瞬
【瞬】
いつだって一瞬みえたものが
ほんとうにみえたものではないか
けしきはまばたきをふくみ
あらわれはしょうめつに欠ける
がらすのかさなるばしょで
かわされる反映のめくばせが
ひとへなりまぼろしともなって
しょうこりとよばれるいきものは
いつだってしょうこりもなく
しょうめつのすがたしかしない
しぐさにひそむのはしら骨
つや髪のふくむものはなにもなく
湯殿にいるけはいがおそろしい
そういう滅と瞬のちょうつがいへ
じかんのひだが流水をたらし
もりあがってみえる質感が
くぼんでいるのがたたずまいだ
ひとはかがみひとはくずれ
いつだって一瞬みえた不安が
ほんとうにみえた不安ではないか