あるか
【あるか】
遠くが鳴っている
鮫島に鮫があふれたそうだ
けれども刃向かうものもないので
死亡通知をこの左手で受けとる
あれを返す「この」。
これを返す「あの」。
みだりに水は
嘆願も森に入ったとおもう
神輿が捨ておかれて
中断は途上からのながめ
そういうものを形見分けの
なめらかな段取りでふかめる
けれども心太にある
あかるいけむりのアイス欠乏
箸をもつ深傷もかたむいてゆく
生理前の いわしの行進
聴像がなまぐさいのは
せまい自覚のせいだ、
私をわたしで割って
マトリョーシカの
入れ子かんおけ
(舌に裏はあるが
西もあるか
なまおよぐ風の繁栄だ
三日おきに手足の柱は
入れ替えてゆこう
鮫島に鮫がおぼれる
蝋涙のさむさを
眼で海の極へ流して
私はこの丘にあるか
すこしずつ
あるか