丹
【丹】
苦境にたちゆびをつめてしまうと
みなぎるべきからだのせんたんから
生気がぬけだしてとどのつまり
十年殺しの懲らしめになると
わかいひとらにおしえてあげた
せなかいちめんへ墨を彫れば
五十をへずして肝硬変となって
ふとくみじかく死にゆくだけ
そんな只今もあると画でしめした
感官のいわれもないいれずみ
もろはだに丹をいれたおんなの
なかばすきとおった瞋恚には
いつでも散る二三片がまつわり
こころの足がひるがえりやまない
あるときの悪はうごきとおして
ひたすら只今へと丹をいれる
こんな熾んがあるべきかたちを
まくずはらへとなびきあげた
以外のみへかぶくわたしらの悪で
みやる青にもこころの丹が泛く