紐
【紐】
ふたてにわかれているみちを
左右ずつ半身をべつべつにわけ
みられやしないかと動悸しながら
それぞれあゆみすすめてみた
ほんの土手の数十メートル
かたほうには紐がとぐろして
もうかたほうに紐がういていた
それじしんにしか似ていない
類似がとてもさみしいので
わたしはわたしに似ることを
まえへむきながらやめてしまう
それで紐をまたぎ紐をくぐる
ふたつのわたしが域外へ
わたされる虹のようになった
ちがううごきをした報いは
あいださえ華にするのだろう
あたかも虫をつけた心地で
かおの正中に紐もゆれて
うれいがきれいへうつりゆく
じぶんがふたりとかんじた