晶
【晶】
ひとがくるしむような詩篇となって
そのあと黴をさかせることはある
ごみをすてにいってごみにすてられ
くうはくがみずからになることもする
ひとつのおこないが了わらずに
じぶんをくりかえしにかえるとき
日にすきまありとおもうのみだった
ゆききがあいだを開閉するのなら
おきてからの身のうつりとはなにか
けさはあさく漬けたもののこまぎれを
しろいめしのなかへゆるくまぜる
もようを口にいれ汁でのばして
からだのうちをゆめにもしてみせる
生気としかよべないこのものが
舌ざわりのはずみへ似てゆくのは
あさがとじて晶をこごらせるためだ
なげきながらたべてゆく卓には
くうはくもありうごきさえあるが
じぶんしかしらないこの脱出口では
おなじであるゆえの晶がきらめく