絲
【絲】
ふるいおんなであれば
しろくとどまるこの時節は
ゆふいくへにも身をつつんで
すがたがころもめくだろう
はだかのそとがわをまく
おうなの布のてざわり
それがくうきとふれあって
ながめなど手もてつかめると
おもりまでかなしみにする
じゅばんごとのすきまへ
しずかに日もたたえられて
発酵するへだたりがある
おりいとはつなぐものなのに
かざりともかんじられる
麻いちまいの覚悟をはばむ
まといそのものがきよわめき
しぐさをりんかくする糸
その糸も絲へとふえて
いかにもおうなのなまえだ
やがてはほどかれてゆく