腐
【腐】
とおざかるうごきが
こころにしたしく
ちかづいてくるうごきが
むねをふたぐのはなぜだろう
みちというものが路上に
ゆくえともどりを盛るためだ
ちかづくすべては祝言を秘めて
しまいはひとのかたちをする
それにかおのないことが
列をなす麦神をおもわしめる
いつか麦の山河をみたのか
秋の日にはとお山から
とんぼがかぎりなくおりて
からだをむざんにつらぬいた
いまはみぞれとなって傘をさし
ふくみわらいしている
としよりらの傘影がくる
ひそかにわたしてくれるのは
ちかづきのその前後なのか
ちがう、かおにくさる傘影だ