埒
【埒】
この世、ということばの幅は
とおく白木蓮などの咲く
かこいのひろさと照りあう
もんなかの公園でこの世へはいり
うるみをますかぜにつつまれ
この世をとけたくわたしはなった
もとよりおとこのしずくなど
けいしょうには要らぬものだが
肩においた手がその場からくずれ
おんなをふりむかせることはできる
いたのにいないこの感触によって
この世のシフターがあの世へかわり
この世をとけたわたしにはなった
らちを馬場のかこいとしたとき
ふらちがぶきみなふくみまでもつ
みえなさをもって了するのみだ
ふれたならばひどくぬれたと
おもわせるからだがばけもので
ふらちのわたしはくずれつつ
もくれんのしたを水難している