蝋
【蝋】
ひによこたわって
やわらくなってゆくわたしを
のぼりつめてゆく
ひかりのようなものがある
こすれからうまれだす
からだぜんたいのながさは
むしのそぞろゆく廊下でないなら
むしろ蝋化とよぶべきだろう
つめがしんじゅいろにとけ
かいなふたつがこんせきとなり
だいおうじょうをよせる
そらへのもろざしをかたどる
このとりくみならきっと
しょうごんをおぼえさせるが
ないものにまでしがみつく
淫蕩もとろりたらしあげ
しぬこととあいすることは
やわらかくながれあってしまう
みつろう、いきながらする
いきの辞世がもどかしい
秋亜綺羅さん編集の季刊「ココア共和国」17号をご恵投いただく。巻頭に載っている清水哲男さんの詩「愛について」にかなしくとろけた。上の詩でそれに添おうとしてみた。それにしても秋さん、「詩手帖」の詩書月評といい、絶好調です。