鞣
【鞣】
肌であるには反映が要る
たちかたのうすいひとらが
手にもつひかりを交換するとき
ずっとたかいななめの場から
きらきらなめされるていで
たがいのあわいてもちに
うまのうすいはだがとおる
みみをすませばこの世あの世と
はやがけしてゆくものがある
あぶらをのぞいて繊維となった
なめし革にはじかんがのこり
有漏を梳いていったおもいでで
ひとみなはたがいをたてあう
あまくしていた芋を返しながら
ほのあかるおもたさをわけて
列柱に似た数語がかたられるが
おもいもまたなめされている
もち場はなれの一揖があり
はだは朝のさなかをきえてゆく
なめしのあとの獣毛を置いて