藪
【藪】
くさ木にひとをおもうのは
くるいのきざしだろうが
ふきだした花の芽には
やはりあかごのこぶしを
ひそかにみてしまう
いずれそれらはひらいて
くうをつかもうとするだろう
それでもつかみきれぬまま
いつしか風にくだかれる
いまからでもねこのような
芯のみだれたなきごえがして
くうそのものがにぎりえず
いつもくずれやまないと
くるおしい反訴がおきている
むろん芽は目と同源だろうから
くうはみられてさえくずれ
はるというものはまとまらない
もつれがそのうごきといえる
やぶには藪をせおいながら
やぶになってしまうひともいて