告知・紗
【告知】
1)本日(四月二十五日土曜)、シアターキノで14時05分からイニャリトゥ監督『バードマン』の上映がありますが、上映後、30分ほどぼくが講演をします。『バードマン』にからめて、題目は「映画を観ることについて」。いらしていただければ幸いです。
2)待望の『現代詩文庫213・貞久秀紀詩集』が刊行されました。待望というのは、現代詩の真のオルタナティヴが実感されるだろうからです。ぼくはそこに作家論「夢からさめて、同一性に水を塗る」を寄せています。寄稿はほかに支倉隆子、江田浩司、白井明大の諸氏。みな詩文庫の解説では初登場で、新鮮な布陣だとおもいます。
【紗】
さいごのインタヴューののちも
そのひとは身うちへかたった
西がわにとおるがらす壁や
へやはしにころがる小匣細工
さんすくりっとの浸透など
それでもことばの肉はゆっくり
やわらかなすじをすかして
きかれてもここの土そこの土と
くべつがたつようになっていった
なぜはなれているのだろうか
くうげきがかさならないことの
さだめをそのひとは口に煮やして
発語をつちけ色に割っていった
だんだん眼はとじられてゆき
かおが紗になじみつつうすまる
平滑のかおが紗にうす彫りされる
辞世をもらすためにうまれたと
ひとの法をおそろしく告げもした
さいごのさいごにくちびるがうごく
木の瘤を眼にとめ春やとことはに