草
【草】
てつがくをやまと詞に
あらわしかえれば
詩になってしまうのが
にほんごという草だ
こころの世にあるひびきが
かんがえよりさきだち
まどおさのくずれるさまが
いつもまぼろしのながめ
さくらもえだではなく
そらにこそしろくあふれ
ひとごみにはいない女身仏を
そらへさがすまなざしができる
世のとなりというべきところ
草場にでいりするひとが
とおく恋がたりをしている
ようにみえるのはなぜだろう
うつむきもする草のなりで
よわりをめぐりとわかつためか
ころもがまどおくゆらめくが
身の草にかんがえはのこる
●
あと6。この詩篇を入れ、あと六篇で予定詩集の収録既定数になる。じつは思潮社オンデマンドへの詩稿として序数散文詩集を入稿済だったのだが、無理をいって、もうじき完成する、この20行詩の連作集に刊行を差し替えてもらうことになった。いま書いているもののほうに、よりつよい愛着があったのでそう決めた。完成すれば憑き物がおちる。あとは国語表現法の配布プリントを、『換喩詩学』準備時のようにネットアップしてゆくつもり。