坐
【坐】
おそろしい患部によって
からだのすこしがかぎられる
そんなことがすでに
やまいではないだろうか
ぬくもりつつあるきせつでは
からだのなかに椅子をおき
からだひとつをすわらせながら
ながめるひかりすべてを
地のわずらいとかんがえてみる
ちりはじめたさくらのはなびらが
みちにこまかくふるえながれ
うごく点描がすこしでないさまは
それなら患部でないのだろう
身のうちに身をすわらせたあとは
とりわけならんだ耳のあいだへ
たちあがってゆくくみたてで
わけられぬものになろうと
にじむあたまがもたげあがる
たつよりさらにいさぎよく
すわりからくずもひきぬいて