お嫁さんにしたい女優 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

お嫁さんにしたい女優のページです。

お嫁さんにしたい女優

 
 
いま発売中の「週刊現代」の特集「もし生まれ変わったらあの女優を「妻」にしたい」にぼくの談話(電話取材によるもの)が掲載されています(北海道は発売が今日)。いろんな女優を話題にして30分ちかく喋ったのに、木村文乃ひとりだけにたいするコメントとなり、しかもその内容が歪曲されていていささかがっかりですが、これは週刊誌取材のつね、手軽な小遣い稼ぎと割り切っているのであまり気にはなりません。
 
ただし喋ったことを記録にのこしておく意味はある。取材者は「現在、「お嫁さんにしたい女優」というキャッチフレーズのひとがいませんが、ほんとうにいないのでしょうか」という切り口で迫ってきたので、まずは往年の「お嫁さんにしたい女優」を分析しました。以下――
 
竹下景子、市毛良枝。ルックスは和風ふっくら型(着物も似合う)、良妻賢母、とりわけ母性がつよくうつくしい。辛苦にたえつつ、亭主を間接的に操縦する聡明さもある。ふたりに共通するのは、ドラマの役柄から導き出された、そんな先入観といえるでしょう。
 
現在の売れっ子和風ルックス女優といえば木村文乃になりますが、四万十市のまちおこしをテーマにした『遅咲きのヒマワリ』でお嬢さんキャラを大成させたのち、彼女は『銭の戦争』『マザーゲーム』とアグレッシヴなキャラへのイメチェンを図っていて、その緊張感が災いして「お嫁さんにしたい」キャラから滑落しました。
 
ドラマ上のキャラから理想の「お嫁さん」をみちびけないのは、現在のTVドラマが全般に往年のホームドラマとは離れてしまったという、ドラマ上の理由もあります。現在、ドラマチックな「妻」は、好き(結婚)、きらい(離婚)でゆれる。そこに女優演技が発揮されるのです。したがって好き・きらいのゆれで見事な演技を披露した『最高の離婚』の尾野真千子、真木よう子が、「お嫁さん」の理想形とはみなされない乖離が起こってくることになります。
 
この微妙な境界線で注目したいのが比嘉愛未です。『DOCTORS』でスーパードクター沢村一樹を「一途に」好きな看護師をさわやかに演じた彼女は、現在、『恋愛時代』で満島真之介相手に「好き」/「嫌い」のゆれを抒情的に演じているのですが、それでも尾野/真木とちがい、ひとみの輝きが怖くなく、やはり「一途」で、「お嫁さんにしたい」欲望をかんじつづけさせるのです。惜しむらくはやや痩身なこと。
 
「お嫁さんにしたい」女優では豊満(とくに胸もと)が似合う。それで念頭にうかぶのは倉科カナですが、せっかくの「妻」役だった『残念な夫』は壊滅的な失敗コメディだったので放映一回の途中で早くもリタイア。彼女の妻役の感触がよくわかりません。『dinner』の「一途な」すがたがおもいうかび、それに好感をもつだけです。いささか心もとないのですが、それでも彼女を「お嫁さんにしたい」のは、「あさイチ」での彼女のインタビューで無類の性格のよさ(それは呑気さにとくに現れていた)がつたわってきたからです。
 
献身的なキャラで「お嫁さんにしたい」とおもわせたのは、難病とたたかう三浦春馬を介護で支えた『僕のいた時間』の多部未華子です。童顔お嬢さん女優の規範のようなひとで、じつに可愛い。ところが彼女は現在、『ドS刑事』で「特異なキャラ」になっています。彼女の「地」と「演技」の乖離が笑え、しかも萌えさせるという、微妙な隙間をドラマが狙い、それに成功している。「ファニー・キャラ」という要素が加わって、さらに彼女を「お嫁さん」にしたくなってしまう。クライマックス、スローモーションでの「鞭打ち」シーンでみえるおへそがとくに可愛い。
 
ともあれ演技力がすべての判断の前提となる女優といえども、素(す)、現実の素材性のほうが、「お嫁さんにしたい」幻想を生みだすことになる。その意味で、注目したいのは、ややマイナーになりますが、以下の女優たちになります。
 
石橋杏奈。健康優良児のようなプロポーションにおおきな頭部がのっている外見そのものが、もう「お嫁さんにしたい」。石橋杏奈は『たべるダケ』のOL役、制服姿の神々しい「腰高」でまず注目しましたが、以後は役柄に恵まれておらず、彼女出演のドラマには付き合っていません。ところがコント番組『LIFE!』で「結婚したい」願望が彼女にたいして沸き起こってきます。コント上「マドンナキャラ」も多いのですが、ルックスとは異なるファニー・キャラにも果敢に挑戦して、ギャップで笑いをとっているためです。おもえば「結婚したい女優」に現在、「ファニー要素」は必須かもしれない。ちなみに『LIFE!』で判明する彼女の「素」のキャラクターも、「英語ラップ歌唱能力」「適度な速さで走りつづける能力」「暗い店をこのむ性癖」など、すべてルックスからは予想できないファニーさをもっていて、ひとを空想に誘います。
 
科学情報バラエティ、ETV『サイエンスゼロ』で聡明なMCをやっている南沢奈央は『高校受験』の音楽教師で注目したのですが、やはり教養番組での安定的なアタマの良さ、興味の上品さから「お嫁さんにしたい」幻想を抱かせます。ふっくらした顔、意外な鷲鼻は、そのまま往年の竹下景子を引き継いでいます。
 
最後は清水富美加。現在、朝ドラ『まれ』に出演しているようですが、ぼくは未見です。バスジャック事件に巻き込まれるなかで唯一お嬢さんだった『ペテロの葬列』で注目しました。正義感と聡明さ。不偏であること。ところが「素のキャラクター」は勘が良く、斬新、ファニーで、さらに可愛いということを最近知りました。グラフィックデザイナー佐藤卓を中心にしてETVで放映されたデザイン演習バラエティ『デザインの梅干』。彼女は司会と生徒双方をその番組でこなしました。ビニール傘が盗まれないようにその柄に香水をふりかけた彼女はデュシャン=ケージ系列の天才肌でした。
 
「お嫁さんにしたい女優」は、演技力はあまり強烈でないほうがいい。ルックスがお嫁さん型だった高峰秀子と、ルックスが美女型だった原節子、そのどちらを往年の日本人がお嫁さんにしたかったかというと後者でしょう。高峰秀子は演技力がありすぎて、狡猾にみえた。それが、たとえば尾野真千子の現在とかぶってきます。ただし尾野さんはコメディセンスも卓越しています。藤山直美のメソッドがはいっているからです。
 
 

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2015年05月20日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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