森川さんと猫侍さんのミクシ日記に書き込んだ十首
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青草が青酸に見ゆ星まはる亀の甲羅の上(へ)にわれ佇てば
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百隅に甲羅干しする亀あふれ曝書もて万巻の真夏はじまる
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池の虫なべて朧ろとなるなかを亀の泳ぎの語尾掠れたり
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甲羅裏みせて浮べる亀の死のごとくありたし食事の焉り
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すつぽんの腑の耐へがたさ青や金 竹生に似たるもの何もなし
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眼鏡を分身としてゆふぐれの冥さにまぎれ光り消ゆるも
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古眼鏡ほこりを集む明治よりこのゆふぐれに接岸をして
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恐るべき反射たとへばをとめごの眼鏡に映るサド哲学の文字
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両の眼に鏡のたぐひ置く梅雨は路傍の白花たよりなくして
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鏡片をゆふぐれに見き静心(しづごころ)ある眼鏡のにれがみならむ
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(※亀五首が森川さん、眼鏡五首が猫侍さんです)