李下
【李下】
とおいこもれびのなかをすぎ
こちらへとむかってくるひとは
着衣であってもはだかみにみえる
いぜんそうしるしたことがあったが
そのわけをかんがえはしなかった
からだの凹凸がしるくかんじられるとか
あらわれのなりゆきがひとつの
黄金におもわれるというきもちだったのか
いずせにせよ身にまとわりつくひかりが
さだまらずこまかにうごいてみえると
輪や短冊やまだらが刻々あるきにうまれ
眼路のなかのながれるような中心を
はだかみへとほがらかにわけへだてながら
ひとをかこいのもとの外にしたてあげた
おとよりもさらにゆっくりちかづいてくる
こころをそうざわめかせきづくのも
李下のかんむりとしてなおも髪がゆれる
はだかのそとがわのうつくしさだった