もちづき
【もちづき】
ゆっくりふりかえってゆくさまは
なにかおおきなかげのひびき
そのもとにしずけくあって
かおなき貌のまどおい香盆から
ましろのかがやきをはなった
なみのもちあげられるうえ
暗中たかく完璧はさみしくて
楕円軌道のおくふかい二に
ひかれ裂かれてもいるのだが
かおなき貌に雲の楽をそえられ
ない目鼻におんなのうれいが
ほのあおい旧さでながれた
天心はひともおかない空席で
それゆえ璧がすこしずつ亡びる
あることではなくてうごくことを
日ごとみあげていた眼のみちが
すごいくらいのまはだかとなって
ひとめぐりの齢がわたしらにおわる
のちは靉靆だけをみあげつくした