食ドラマ3本 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

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食ドラマ3本

 
 
【食ドラマ3本】
 
 
本日の北海道新聞夕刊にぼくの連載コラム「サブカルの海泳ぐ」が載ります。今回、串刺しにしたのは「食ドラマ」。王道にして先駆者の『孤独のグルメ』(シーズン5がはじまった)を皮切りに、BSプレミアムで放送再開の『本棚食堂』、それとTOKYO MXで放映されたが北海道では放映がなく、ついにDVDボックスが出てしまった噂の『食の軍師』について論じています。コラムに書かなかったことをすこし補足。
 
食ドラマは料理の紹介がメインなので、いわばストーリーはアリバイ。ところがその「うすい」ストーリー以外に、編集作法、音楽などに「定番」をつくり、全体で「いい味」を出すという反ドラマ手法が興味ぶかい。たとえば『孤独のグルメ』は「腹減った」のナレーションとともに松重豊の路上のすがたが三段階にロングになってゆく編集、久住昌之らの音楽が、ドラマから分離できない。
 
『食の軍師』は原作が泉昌之のマンガ(つまり『孤独のグルメ』とおなじく久住昌之が関連している)で、ただしこちらは「暑苦しい」津田寛治と「すずしい」高岡奏輔のライバル対決という振幅を盛り込んでいます。津田寛治は悪役が印象的でしょうが、眉間の皺の数によって「悪役度」に濃淡があり(顔だけで役柄が水銀柱のように測れるのが記号的にして現代的)、眉間の皺が「最小」になったときは、自意識過剰男の「内部葛藤」がとうとう破局にむかうという、第二の俳優天性にかたむくことになる。精神分析演技の精度がみごとで、もう大好き。『太鼓持ちの達人』の津田寛治の回なんて、つい録画を消しちゃったけど、家宝ものでした。
 
おでん、焼肉、てんぷら、とんかつ、崎陽軒のシュウマイ弁当……高岡との「食通=注文=食べ方(順番)」対決をおこなう(すなわちアフォーダンス・テーマもからげてゆく)『食の軍師』は行動心理学的分析としてもじつに高度なのですが、それを津田寛治の「おバカ」演技があえて台無しにする複雑な自己内転に現代的な妙味があります。何よりも、津田寛治のここまでかのデフォルメ演技、じつにわらえる。
 
『本棚食堂』はひとりの少女マンガ家をいつわる中村蒼と柄本時生のコラボコンビのみならず、アシスタント役のちょっと肥ったメガネっ子・山下リオなどじつに可愛い。これは鬼編集者・遊井亮子のプレッシャーにヘタった中村・柄本のコンビが現実逃避のためにコミックをふくむ本に書かれているレシピを実際に実行するという定番で、意外に料理選択のシブいのがすばらしい。
 
以上述べた三本は、すべて共同テレビの制作。ぼくのコラムは、テレビマンユニオン系の食番組との撮影のちがいなど、テレビ人脈を語るプロっぽいところで締められます。ぜひご一読を。
 
なおコラム「サブカルの海泳ぐ」は毎月第一水曜の夕刊文化欄に掲載されていましたが、この10月から土曜夕刊にサブカル欄が新設され、その一角に喰いこむことになりました。毎月第二土曜日の掲載の由。
 
 

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2015年10月10日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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