「層」8号
とうとう、ぼくの所属する北大、映像・表現文化論講座の機関誌「層」の8号が発売となりました。ぼくはそこに、90枚の長稿「『私の男』と結晶イメージ」を寄せています。2014年公開の熊切和嘉監督、二階堂ふみ、浅野忠信主演『私の男』に、ドゥルーズ『シネマ2』での「結晶イメージ」の概念がどこまで適用できるかを実践したもので、今年紙媒体に発表されたぼくの映画論では唯一、まとまった分量をもつものです(執筆は昨年末)。意欲的なアプローチをしているとおもいますので、ぜひ読んでいただければ。学会誌ですが、ジュンク堂などで購入できるはずです。本文160頁、1800円+税。
同号誌面ではほかに、日本の現代思想の「台風の目」、廣瀬純さんをフィーチャーした第一特集「シネマの大義」が充実しています。それと同僚の応雄先生も、ドゥルーズとゴダールを交錯させた重厚な論文を寄せていて、これにも注目していただければ。
誌面全体を概観すると、映画のディテールを視覚的に描写しているぼくの文だけが例外を形成しているとも気づきます。ぼくは思考と視覚体験を分離できない。そのあたりを誌面から汲んでいただけたらとおもいます。