近況・五月二日 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

近況・五月二日のページです。

近況・五月二日

 
 
【近況・五月二日】
 
今月(5月号)の「現代詩手帖」では、阿部執筆、あるいは阿部にかかわる、以下の記事が載っています。
 
まず、特集「江代充が拓くもの」では、「事前と事後の、幸福な浸透」という記事を書きました。江代詩における時間の特殊構造、さらには主客一如の空間性について言及したものです。詩論集『詩と減喩』では大きなスペースを割いて書き下ろし「江代充について」を収録しているのですが、現代詩手帖での論考は、『白V字 セルの小径』までに限っていた、その書き下ろしでの江代詩の対象領域を、『梢にて』『隅角 ものかくひと』にまで延長しました。よって論旨、対象に重複はありません。
 
連載「詩書月評」では、「瞬間の王は死んでいない」と題して、フレーズに瞬発的な印象のつよい詩作者たちを連続して考察しました。扱ったのは、以下。
 
・瀬戸夏子『かわいい海とかわいくない海end.』(書肆侃侃房)
・榎本櫻湖『metamusik』(私家)
・松本秀文『環境』(思潮社オンデマンド)
・大野南淀/藤本哲明/村松仁淀『過剰』(七月堂)
・青石定二『形R』(現在実験箱)
 
とりわけ藤本哲明という新鮮な才能をフィーチャーできたのが意義ぶかかったか。瀬戸夏子については、いずれ時間に余裕のあるとき、歌をピックアップして「詳細味読」をやろうとおもっています。大好きな才能なので。
 
時里二郎さんは、「現代版よみ人知らずの詩学」と題して、ぼくの詩集『束』『空気断章』を書評してくださいました。詩人のアイデンティティをぼくの詩篇からは析出することができない、「詩人の時代」の終焉を詩集が告げている、というのが時里さんの書評の趣旨です。とりわけ嬉しかったフレーズを抜いておきます。
 
  声に出して読んでみると、実に耳触りのいい音楽が鳴っている。明らかに、調和に満ちた和声的な操作がほどこされている。このハーモニーは、和語とひらがな表記を意識的に行うことで生まれていることはすぐにわかる。つまりは、音韻的な流れを意識したリズムを詩の骨法に据えて、言葉の意味内容の方はそれに従属している。
 
  しかし、ただ「従属している」だけではない。言語規範を突き抜けた特異な言葉の流れが、ひらがなの音楽に鞣されてみると、実にみずみずしい、今まで経験することのなかった音韻と意味のたゆたいがかもしだすふしぎな意識のほぐれを経験する。
 
 
――札幌は昨日からさくらが満開。今日は授業日ですが、あす以降、来札している女房と歩き回ってみるつもりです。
 
 

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2016年05月02日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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