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近況10月2日 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

近況10月2日のページです。

近況10月2日

 
 
【近況10月2日】
 
本日の朝日新聞の読書欄、「売れてる本」のコーナーに、映画大ヒット公開中の吉田修一『怒り』(中公文庫、上下)にかかわるぼくの評が載っています。内容はともかく、新聞原稿がどのように専門的な言い回しを避け、穏当化しなければならないか、その実現のために苦労した痕跡が行間から窺えるとおもいます。じっさい書き直しは向こうの「欄の編集長」、それと女房からもふくめ数々の試行でした。とりわけ「メタ性」を指摘したい箇所など、その用語がつかえず、換言に四苦八苦しました(本書および映画化作品についてのより詳しい内容は、FBのあるときのポストで、山下晴代さんの旺盛な書き込みにたいする応答としてしめされています)。まあ、それでも新聞原稿はパズルをしあげるようで、おもしろいです。その意味ではいまやっている八行詩に似ている。
 
もうひとつ。ご報告が遅れましたが、「現代詩手帖」10月号には、ぼくの詩書月評第10回が掲載されています。これも内容はともかく、とりあげた詩集に自信のある構えになっているかなとおもいます。対象の詩集を契機に、「幽邃」という理論化しにくい概念を展開してみました。どんな媒体であれ詩集月評は紹介しやすい作品をとりあげるだけのかたも多いのですが、それではまったくつまらない。ぼくじしんは今回、荒川洋治『北山十八間戸』にも言及したのですが、じつは荒川氏の作品につき、ちゃんとした何かをいうのは初めてで、すごく緊張しました。荒川氏はいうなれば、「すきだけど、きらいな詩作者」。ちなみにライバルの稲川方人氏なら「きらいだけど、すきな詩作者」ということになるのかな。
 
ほかにとりあげた詩集は、金井裕美子『ふゆのゆうれい』、河口夏実『雪ひとひら、ひとひらが妹のように思える日よ』、中森美方『最後の物語』、北原千代『真珠川 Barroco』。傑作ぞろいですが、金井詩集、北原詩集は、本年度の収穫にかかげるひとが多いのではないでしょうか。ぼくの『石のくずれ』もそこに混ざらないかなあ。礼状ではみなさんから、派手な絶賛をいただいているのですが。
 
 

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2016年10月02日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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