近況11月4日 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

近況11月4日のページです。

近況11月4日

 
 
【近況11月4日】
 
ご報告が遅れましたが、今号の「現代詩手帖」詩書月評では以下の詩集をあつかいました。
 
・大木潤子『石の花』
・神尾和寿『アオキ』
・坂多瑩子『こんなもん』
・林美佐子『発車メロディ』
・萩野なつみ『遠葬』
 
「たりない詩」「みじかい詩」の収められている、すぐれた詩集を考察しました。大木さんの詩集は、ジャンルとしては長篇詩に属するとおもうけど、ほれぼれするほど「たりない」。神尾さんの詩もごく「みじかい」。そんな詩篇がなぜゆたかな容積をもつのか、考察にあたいする。坂多さんの詩集も変容を盛り込んでいるが、修辞が平明で、「すくない」感が見事。林さんは、今年の詩風の特徴、「変型ライトヴァース」のすばらしい達成だった。もちろん各詩篇はみじかい。萩野さんの作風では詩的修辞が峻厳に切り詰められている。
 
もうずっと、詩が「サーヴィス」であるためには、「みじかい詩」しかありえない、とぼくはいっていて、その主張を体現するような、充実した詩集群でした。
 
月評ではこれだという詩篇が全篇引用されていれば、それでまずはいいのではないか。ただ、引用のさいには導入・解釈などがなければ、たんに佳篇の羅列になってしまう。そのためにやはり字数が要って、結局、毎月だいたい5冊ていどの詩集を紹介できただけでした。詩論としては濃くなっただろうけど、詩壇のうごきをなるべく網羅するべき月評としては異例だったかもしれない。わがままをゆるしてくれた編集部には、感謝しています。
 
この号であつかう詩篇をかんがえるときに、すでに詩集刊行ラッシュの前兆がありました。連載最後の――年鑑号では、いくらか頁数がふえるとはいえ、大量の「積みのこし」が出るだろうな、という不安をすでにおぼえていた。ひと月に5冊ペースで来たことのツケともいえますが、「積みのこし」はここ数か月で加算的にふえていって、この号の原稿を書いたのち、大量の傑作詩集が舞い込めば、もうにっちもさっちもゆかない。予感は的中、結局、年鑑号では、一冊を例外に、たんに十月に出た詩集のみを対象とするしかありませんでした。この詳細は、年鑑号が出たときにまたお伝えします(年鑑号の原稿では、ずっとのどにつかえていた「いいたいこと」を、冒頭でかなりぶちまけた気もします)。
 
さて今号の「詩手帖」のメイン特集は、「黒田喜夫と東北」。とりわけ、黒田喜夫論を詩にしたというか、黒田喜夫の詩の記憶をあわく通過していったような、佐々木安美さんの特集向け詩篇「この部屋の仕組み」の出来栄えにうなりました。
 
小特集は「詩論集を読む」。ぼくの『詩と減喩』にたいし竹内敏喜さんがすばらしい書評を書いてくださっています。勘でいうのだけど、ぼくの詩論集の書評は見開きのスペースでは字数がきっとたりない。なんらかの方向をつけ、石切のように空間を連続跳躍するひつようがある。竹内さんはその見切りが見事で、しかもあたたかい余韻をくださった、ぼくの詩集『石のくずれ』にも言及する、うれしいオマケつきで。
 
 

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2016年11月04日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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