現状2月21日 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

現状2月21日のページです。

現状2月21日

 
 
きのう東京の編集者と電話ではなした。あたらしい詩集について。8行でつづられた詩が150篇というかたちで、いちおう詩稿が構成案とともに完成していると告げ、つれあいからゆるされている自己負担額もつたえた。
 
本の判型というのはおおむねが縦長で、詩篇特有に字をおおきく組み、それに詩篇タイトル、さらにはタイトルと詩篇本体間のアキをくわえると、8行の短詩でもぜんたいが一頁横幅にはちきれるようにふくれあがってしまう。
 
むろん予算の関係で、あたらしい詩集は、見開き起こしではなく、左右頁どちらも開始ありの両起こしにしたい。ところがそうすると前述のように詩篇の頁大のふくらみによって、一篇ごとの切断があやふやになり、視覚的につながってしまう。余韻もでないし、頁をめくる動作による読みの新規化も、度合が半分に減少する。
 
予定している自己負担額からすると、詩集の総頁数は7台=112頁が限度だという。となると両起こしでも、目次、扉、プロフィール、奥付を勘案すれば、詩篇収録数が100ていどになる。自分で30篇ていど切ったのに、さらに50篇の削除か。いったんため息をついたのち、それもありかなとかんがえなおした。完全入稿ではなく、自分の構成案にさらに他人=編集者の手を介在させること。それが以前からの継続をべつのすがたにかえるきっかけとなる。削除は編集者におこなってもらう。文句はいわない。
 
そのように納得していると、さらに手ごわい編集者はいう。おもいきって詩篇タイトルをなくして、詩篇を天地左右へ余白をのこして置いてゆく手もありますけど、やはり見開き起こしのほうがそれぞれの詩篇に落ち着きがでますよ。
 
そうなると詩篇が8行しかないから、紙面がすかすかになるよ、詩篇をノドに渡すのも短すぎて分離感がでないかなあ、とぼくが危惧すると、それなら右か左かの片頁を、詩篇タイトルをしるす扉にする手もありますよ、という。そう、いま流行りのかたちだ(杉本真維子/小川三郎)。むろんそうすると収録詩篇数が50にまで縮小してしまう。読者にとっては扉つきで強要される、一篇ごとのチューニングチェンジもうるさくないか。詩篇がみじかすぎるからそうなるのだけれど。
 
いいにくそうに、しかし愛情のこもったしずかな口吻でさらに編集者がいう。「阿部さんの詩集が限定的な評価しか獲得できないのは、やはり〈盛りすぎ〉という面があったとおもうんです。読みやすくみえてむずかしいから、ここらで詩篇を削って風通しをよくするひつようがあるんじゃないでしょうか。詩篇をどうみせるかは大事です。しかもその詩篇をていねいに選択しなければなりません」、表現はことなるが、およそそんな意のことを編集者が語った。それもありかなあ、と気弱にこたえた。帰宅したあと、とりあえず判断材料として詩稿を編集者へメールした。それが昨夜。
 
今朝がた、ふとかんがえなおした。8行詩で50篇なら全体で400行。これではあまりにもボリューム感がでない。一行の文字数がすくないのでいくら遅効的了解を目指していてもぜんたいが20分弱でよまれてしまう。大木潤子さんや荒木時彦さんのような明晰な資質がないと、レス・イズ・モアにならない。いうなればボリューム感はぼくの個性なのだが、それでもそれを編集者の提案で抑制するなら、やはり100篇、全体で800行が適当ではないのか。これだっていつもの詩集からは絶対的に行数がすくない。
 
きのうとどいていた「イリプス」最新号をふとみると、いくつかの掲載詩篇が、頁節約のため、詩篇タイトルを頁下方に横組みで、詩篇よりおおきい文字で一行ながしている。ながめはつつましやかだ。一行字数のすくない詩作者だけに成立する特権。「これだ」とおもった。これをいただこう。
 
自分の詩集の組みにかんがえが移る。両起こしにすると詩篇のながれに目詰まり感がでる欠点は以下のように解決できる。判型を正方形か横長にする。両起こし。8行の詩は左右センター合わせにして、とりわけノドからの余裕をたもつ。文字は可能なかぎり大きめ。詩篇タイトルは詩篇下部の定位置に、横組み、詩篇の文字よりやや大きめでながす。詩篇の版面よりもやや小口寄り(右頁)、ノド寄り(左頁)にタイトルがあるのが良いだろう。
 
この見開きレイアウトを略式で図示してみると、なるほど目詰まり感がない。さっそく東京の編集者に但し書きを添えファックスした。いずれ答えをくれるだろう。やはり収録詩篇数が多すぎる、詩篇も見開き起こしのほうが良い、といわれれば、たぶん今度はしたがってみるつもりだ。まあ、どのくらい編集者が詩篇の個々を大事におもってくれ、そこに8行詩にまつわる方法論のヴァリエーションが確認できるかで今後がきまるだろう。それぞれがその時点でのぼくの境涯を反映していて、その具体性も掬してくれるとよいのだけれど。
 
刊行予定は夏。
 
 

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2017年02月21日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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