馬
【馬】
ひとがなにかの正義で騎乗すると
それら馬は画面からかなしくはみだす
引いてはだか馬だけ撮ってほしい
そうねがうことがひとをゆうれいにする
ひとみだけみても縮率がちがうのだ
血管もふとくなみだだってけむりに似る
わかものの身の丈ほどあるのだから
くびはからだからはなれるようにたち
ながめのおくゆきで墓をならべる
それらがくうきにかすれてゆれると
おそれがくわわってはしりへとかわり
地表そのものが帯状でながれてゆく
そうだ荒地とリボンにはゆらいがある
つながりが歌なんて前世がとおるみたい
とおくは熱でもえさかっているのに
あかるくないからみたされてもいない
余分をもやしてごらんみな腑におちるから
余分のなかへきえてゆくみななのだから
いくたびもとおい内部が円筒になる
かけつくしやがてとまりくびをたれた
あんなくさはらさえさきのみえる
おぐらくおおきい筒の切り口となり
たてがみとひづめでできたうちがわも
ものをかんがえるにはかたちすぎて
むれが群として居のこりつづける