学校
【学校】
ひとりいで、ふたりいでする
あのおくまりにあるいえが
無尽とおもえおそろしかった
せんよりまどのふえた気もして
いずれはいえかべすべてが
まどとなってしまう破局がみえた
いえのなかからでてきたのに
むすめたちのひとみはなにゆえ
人どおい碧空をうつしているのか
きっとたかみと脳髄がつるむ
いかがわしいさそいをうけ
それが教育とおもわされたのだ
ほそいこえでうたいもしたが
これがおもわぬ多声だったため
構成のなすじゃばらのぬかるみに
しずかな舌がとられたのだろう
しろが死に、あわが些少になって
うつろな放心をえがくかおは
もともとこころのあったことすら
ただ福音書のかたりにさせた
かおはところではなく時間
だからたがいをゆるしあうなら
そこへエスのようなものもはいる
おもいえがくといえのなかでは
はしごが論につかわれたとおぼしく
ほおにかすかなしるしがのこり
見目にある位階をうるわしくさせる
みえるものではなくのこるもの
あれこそが身熱での映えとなるのだ
ひとりはいつもふたり以上だから
路次をふさいでさそいかけてみたい
むすめらは夕映えあるあのいえの
木像ならぶ二階にみないたのか
うたういがいはだまっていたのか
けれど一階はいえの底面よりおおきい
電動昇降機のゆかにもなっていて
むすめたちはおがくずとともに
矛盾してきりだされてきたはずだ
ひとりいで、ふたりいでする
ときのながれに倦みつかれ
しるしをつけてゆくうちにも
ライン作業のくだものがあふれた