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脱落 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

脱落のページです。

脱落

 
 
【脱落】
 
 
みぎひだり、なづきのはたてに
すうほんのくさがはえていて
いずれもながめながらなら
詩がでっちあげられるとおもう
まなかのすっぽりおちている
この脱力というか熱狂のなさが
とてもよろしい気分なので
くびをゆっくりふってゆくと
かれくさのにおいも鼻をついて
なんにもないかおを照る日
くもる日のめくりにかえてゆく
かきつばたのしおれている
いやらしいぺえじをまくれば
まなかのないひとがくわわった
どうやってのびきったのか
双肩だけがそびえているので
つやつやと刺繍の織られた
うすぎぬなどおもくて着られず
そのない部分こそがはだかで
かどを折れるのもたくみだった
ひとをかいにゆくというその
あるきかたに臓腑すらなく
脚の左右がおそろしくめだった
ひきずることなくとまることなく
交錯がきわどくすすんでいたが
尺取りではない歩幅の倍増が
みためをかずとしなかった
そのひとはいくぶんわたしで
たとえそうでないと否定しても
もとより暗喩が詩ではなく
ただてつがくのあやまりだった
けしきへきえられないものは
自他のさかいをおどっていない
ちがうなちがうなとつぶやき
あいしすすめてゆくとまたもや
まなかのないゆえうつくしい
げんえいのひとがあわくうかび
かかれたものの詩脈をかえてゆく
つたえるべきはなにもないと
つたえている疲れ、うるわしさ
あいするひとはいくらか偶然
時間のように二本だけあり
とおくつづく並行でできていた
 
 

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2017年07月06日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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