花火
【花火】
ふるいたてものがとおくにあれば
そのすみにいることもできる
ひとりぼっちののはらとはちがう
そとかいだんへのでくちから
なかばからだをあらわして
ぜんたいをせおっているような
それでもえだのにおいこそを
あたりへはなつみこみちがいに
こころをあおくするしだいとなる
しんでいるあかしがしびとだが
すみにいるこどもをかたりかえる
てつがくのてきかくなことばはない
ゆうぞらとのかんけいもわずか
はじまるはなびはゆうかげのなか
ずいぶんいろあわくひらいて
すかーとからのびるそらのあしを
きえかかるものとみあげている
ひとみにえんきんはみかたしない
とおくふくむものがありすぎて
荷台ではこばれてゆくのをみやるが
ちかくなどなにもいれかわらない
蜜のおもくながれるにひとしく
ゆっくりうつるのがおうごんだが
そこにくるしいあおみをおびるのが
たてもののすみにいるとわかる
あにーろーりーの下校放送がひびき
みずからのおわりをつげられると
残光のいとくずを髪にうけて
とびらになかばかくれたままの
よこざまのこどもがかたまってゆく
それからをどうするのだろうか
みこみいっさいがはじきかえされ
その一隅だけがみひらきになり
ぺえじをひらいているときがある
よまれるのはそうしたもので
あれごりーなどうごかなければ
むざんなぶんめいでしかないのだ
あのこどもも一晩かけてきえる
よきことのないわたしとして