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撮影 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

撮影のページです。

撮影

 
【撮影】


全刺青を世界のここに現すために
川明かりするネオンを始末する
蛇ていどの恨みの反映に
使役される映写幕もない

拷問は決して終わらないとくねる
フランク・ザッパのギターのように
小節ごとに角度をつけかえては
それら鬼籍をただ男の背にした
絶後にすぎないものこそが空前となる

絶望の誰何はかんたん
こういえばいい――「絶望だろ?

芒を背後に空騒いだけれども
「映っている光が駄目だ
「近代は光をまだ克服していない
収束とは自身にかかる梯子を落とし
空中の足場のまま動かないことだ

カメラは歩く女を背後から追う
むろん主題は女ではなく背後
それは極東では産卵して変わる
女が男に擾れる筋道もできる
いずれも静かな午後のことだ

運命の落下の代わりに抱く
空中の万の乳房のなかにあって
俺は喰えない玉蜀黍のまぼろし
地味な髭根を垂らすように
時間の女陰にただ花火した
ムーヴィカメラをもつだけ
映写幕が規定するこの昼間を




今日観たある映画をもどかしくおもって
上の詩篇を書いた。
その映画監督と自分との共有事項とおもわれるものを
ことさら詩にしてみたのだった。
具体性を飛ばすことで詩は屈曲したとおもう。

盛田志保子さんのミクシィ育児日記に書き込んだ短歌も
ついでにこの欄に記録しておきます。


部屋ぬちにきなこを蒔きて幼童の奇しき支配も麹のかをりす
 

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2008年07月09日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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