あれごりー
【あれごりー】
おちもせず巨岩ひとつが
ピレネーのそらをうかぶままだ
ためにからだがやせていると
ひとらがそろってかたる
それはみあげられることなく
ふりかえったときどきに
くろくそらをおおっている
ぜんぽうではなくいつも
こうほうにあるとするのは
まわしうる身に矛盾だが
さきだってうみをみとおすと
そんなおぼえがよくおこり
あるといわれる巨岩も
この世でないのかもしれない
つかれたかおでわらうと
ななつのあなをうがたれて
しんでいった渾沌こそが
あいすべき巨岩とかんじる
それはそのものではなく
岩質をはばむあたりの紺青
わけへだてのすみきった
周囲のもんだいなのだ
あれごりーをつかう以外は
ゆううつもえがけない
いぬしらずおおかみしらずの
絵師しかかつていなかった
そのものをかこむほそい輪が
みなのしるしとなったが
うかぶ巨岩のどこにも
輪をよびこむすきがない
どころかかたちとよびうる
れんぞくすらないまま
そらにありと目されていて
たしかにおおきいのに
星さながらとおくふるびる
ふりかえるときどきの
はんどうなのかもしれぬ
みずからのうちらにあると
ひとらがそろってかたる
ふるくさいみなのぞうもつ
いろさえかたれないまま
峻厳のほころぶさまを
そらのほろびにまで格上げて
その位置を巨岩とよぶなら
あるものもありながら
ないをつづけるしかない