爪
【爪】
つめがうすいのですぐのびて
みずからのあまりやあやまりを
なんどもきらねばならない
とぐためのはしらなどほしいが
おおよそのはしらはとおくにあり
あめのなかでけぶりあげていて
とおくへゆびがふれることはない
あめは聴くものだ移るものだ
ときのまでしかないともされて
みつめているとなにかきみょうだ
ぬれないところがおおくあって
おおきな石のうえがそこなら
こまかなしろののこされもまた
くうきのつめだとおもうのだ
ひき、かくとわれてしまうようで
つめははくへんとしんわする
ひき、かくとおのずからこわれる
ちかさがじんるいのとおさだ
あめはひかりをおびてふるので
まといつけたかげをしずかにして
よのなかへたてすじをつける
爪白癬とまきづめと周囲炎
それらは名のわりにきれいでなく
はなびらをちらした寺院を
ぬれないねこのようによぎる
あめのなか、きみの月齢をきいた
みかづきがめだまにいっぱい
やわらかい身をななめによじり
しろがねをゆっくりながしている
あれもまたといでいるところだ