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マズル+酒井泰三、9月25日 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

マズル+酒井泰三、9月25日のページです。

マズル+酒井泰三、9月25日

 
 
札幌イベントスペースエディットに、マズルのライブを見に行った。林栄一のアルトサックスを中心に、ダブルドラム、ダブルベース(ひとりはウッドベース、もうひとりはエレキベース)、ダブルエレキギターという信じられない編成。ちなみにギターのうちのひとりは本日のゲストで、ぼくの中3のときのクラスメイト、酒井泰三(近藤等則のIMAのギター等で有名)、もうひとりがずっと恋い焦がれていたギタリスト、石渡明廣(天注組時代からのファン)。浅川マキのバッキング経験者が主体となっている。林のフリーキーでも歌心のあるアルトサックスのほかは、すべての楽器がダブルなのだから空中分解するか不透明な音の量感のかたまりになりそうなところだが、さすが歴戦のジャズの強者たち、迫力ある展開のうちにも透明な隙間をつくり、その隙間がジャズグルーヴの動因になっている。それでもたとえばドラムは林のソロの余剰部分で終わらずにソロをつなげ、それをもうひとりのドラムがソロで継いだりするなど構成が融通無碍で、その融通無碍が崩壊と紙一重なのがスリリングだった。ドキドキした。約2時間で全5曲。最初はロック出身の泰三くんに敬意を払ってかロックンロール(ブルース)コードの曲で、泰三くんのソロ直前でブギリズムになる歓待ぶりだった。ギタリストの対比は超絶技巧をなんなくこなす石渡がまずクール。ときにフレッド・フリス、ときにジョン・スコフィールドをおもわせながら、高いフレットでふくざつに変化するコードをファンキーに刻んだり、バラード曲のソロでうっとりさせたりする。ところがそれらはパウル・クレーの絵のように、より高次元に形象化されている。エフェククターもあって、ギターがギターに聞こえない。ピアノと錯覚する局面まであった。対する泰三くんはよりディストーションに近いエフェクターを使い、打楽器的、あるいはホーン隊のような泥臭い、それでも現代的にノイジーなリズムを刻む。そのうちに中近東スケールに移行するソロのくだりがすごかった。ジミヘン的だがザッパのようでもあり、それでも粘つくような遅滞感覚がある。やったな。いずれにせよ、ギター音をどう創造するかに存在論が熾烈に関わっている。林栄一にもドラムの二人にもそれを感じた。全体ではとりわけオーネット・コールマンの「ロンリー・ウーマン」に落涙寸前となった。もともとリリカルながら現代的な編集感覚あるこの曲に、さらに破壊寸前の編集感覚が上乗せされた。フリーキーで悲しいのに、ビューティフルだった。高柳昌行以来の感動。マズル、本当に良い集団だ。この演奏の前に浅川マキのライブを収録したビデオ映像の上映があった。若き日の林栄一が迫力満点で、フリーキーで構築性の高いソロを吹いていた。林栄一がデヴィッド・マレイにみえた(いまは基本的には枯淡だ)。渋谷毅のピアノ、オルガンも凄い。それにしても浅川マキ。久しぶりに圧倒された。眼を病んでいたし、声もいまひとつ出なかったが、存在感は土方巽並みだった。原田芳雄の歌唱の原点だな。ただし倦怠感は極上で、他の追随を許さないし、本当に歌がうまい。生前に、じかに見たかった。「それはスポットライトではない」を唄うか否かマキが迷うくだりがあったが、唄ってほしかった
 
 

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2017年09月26日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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