メモ11月9日
【改行詩を読むさいの目安】
・修辞、主題、語彙が個性的か
・長すぎる(行数が多すぎる)ことはないか
・独善を避けているか
・モチベーションは現実体験から生じているか
・語彙偏愛、または誇らしげな語彙展覧を卒業しているか
・一行目にツカミ(≒天啓)がみとめられるか
・最終行に、時空をまたがる余韻があるか
・展開に、意味形成と音楽性の双方がたもたれているか
・行の「ばらけ」が換喩性特有の、カードをひらくかたちになっているか
・イメージと脱イメージに交互性があるか
・ゆっくり読まれるための配慮があるか
・描写力はあるか
・助詞の意図的誤用などがあるか
・ぞっとさせるか、あるいは驚かせるか
・脱落による文法破壊があるか
・語調から尊大さやしたり顔が除去され、透明な中間性をひろげる方策がとられているか
・アフォリズムからは距離がとられているか
・自然にもとづく景物が入り込んでいるか
・和音または漢音の語彙が集中組織されることで音韻が高められているか
・頭韻はあるか
・暗喩構造の高圧性を回避しているか
・繋辞構文の使用が抑制されているか
・体言止め多用を忌避しているか
・構文は複文中心か
・無用な主語がはぶかれ、「詞」ではなく「辞」中心の組成になっているか
・一行の字数(音数)に、ばらつきが保持されているか
・冗語・迂言・反復がある場合それが意図的か
・散文を文節単位でのみ改行する「隠れた散文性」=弛緩から、詩が離れているか
・各行の行頭にひらがなが多いか
・意味的な文節を除外することで引き緊まりを確保、読解にゆらぎをあたえているか
・聯間一行空白がある場合モンタージュ的効果がかんがえられているか
・学殖への耽溺を自制しているか
・哲学があるか、あたらしい感情・認識があるか
・生活をうたいながら「自慢」を禁欲できているか
・飛躍のパターン化が確実に憎悪されているか
・不連続性が連続のなかに溶け込んでいるか
・約物、疑問符などの使用ができるだけ避けられているか
・展覧される事物に趣味的偏向のないよう詩篇間に「分散」がおこなわれているか
・助詞の重複が避けられているか
・事物が「ある」ことへの操作や容喙が不当とかんがえられているか
・かなしさや恥かしさがつたわっているか
・うつくしさや謎などで再読誘惑性が図られているか
・事物と身体はともども存在しているか
・詩論的もしくは詩史論的な詩か
・定型性の自己目的化に、否がつきつけられているか
・作者の顔が削除されているか
・「現在」がしるされているか
・伝達力があることで詩篇の自立性が確保されているか