ずっととおくにある
【ずっととおくにある】
まだ消えかかったままだ
空に眼つぶる白いまぶた
物質が「おもうもの」となる
から真夏の階段も重い
よぎってゆく数多く
斜線だらけに長望が
斬られたそこが宮殿で
憧れ以下眷属も棲む
桃色の発疹詩がきれい
綺羅は内側から秘密を襲う
面白いようにガタがきて
水すら下顎が合わない
水は接合箇所も合わない
せっくすが寝床に崩れる
お揃いをビショビショにして
午後一杯 体の乾杯となる
ねえ眠りの底は甲斐かい
蛙が閉じているそこがある
昼寝すれば発語もぼやける
ねえ下りの底は攻め甲斐かい
溜息のかたちをした座敷童
部屋はくるんくるん飾られる
お蔭を以て眼で欠伸した
体はまだ消えかかったままだ
ゆびさきも真珠をこぼす
えだまめが掴めない日々
白くなった舌を石油で洗うが
光速はずっととおくにある