恋する人間
去年の北大文学研究科主催の、社会人に向けた全9回の公開講座「恋する人間」が、高校生にもわかる口語体講演原稿集として、一本になりました。鈴木幸人編『恋する人間』、北海道大学出版会、2600円+税。阿部は9人の演者のトップバッターとして、トッド・ヘインズ監督の傑作映画『キャロル』を対象に、「恋する顔」の諸属性をとりわけ視覚的に分析しています。口語体でわかりやすいし、恋を論じることでそのまま読者も恋に陥るような生成が起こります。阿部の書く映画評論では最もラヴリーなものと一部で評判。阿部自身がレズビアンに文学的なあこがれをもつからかな。文献提示もわれながら華麗。「顔の哲学」へと拉致されてゆきます。ご一読いただければさいわいです