にくのかたまり
【にくのかたまり】
にくのかたまりとして
うまれたかいぶつは
なまえもなく
もりのなかで
なにもたべずに
ずっとくらしていました
なにもみえない
なにもきこえない
なにもさわらない
にくのかたまりは
いしのようにさわにあって
ずっとひとりぽっちでした
だれもそれに
ちかづかなかったのは
とてもくさかったからですが
あるとき
くろいおんなのこに
ほしのはなしをきかされました
「よぞらには
きらきらするほしがたくさんあって
あけがたまで
はなしをしながら
みんなでながれてゆくの」
にくのかたまりは
そんなほしがすごくみたくなって
そのおんなのこに
めのあなをあけてもらいました
とってもいたかった
でも ちのまくのむこうには
ほしがたしかにみえました
みえたのでずっとみてました
なぜだかずっと
そのころは
ほしのよるだったのです
ちはとまりませんでした
だからにくのかたまりも
ほしをみながら
ゆっくりとしんでいって
でもあんまり ねっしんだったから
とうとうほしになりました
あのまんまるかったからだは
ちがながれすぎて
すごくちいさくなっていたのです
にくのかたまり しんだ
それにともなうように
よぞらからもほしが
ひとつきえたことは
くろいおんなのこだけが
しっています
そんなふうにして
よぞらから
だんだんほしが
へっていってもいるのです
これは ないしょだけど ね
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連日のオリンピック鑑賞を断ち切って
盆休みを昨日から一挙に
マンガ・モードに変えた。
後期の大教室講義のためだ。
それで女房をないがしろにしている。
昨日午後から今日11時までに
読んだマンガ単行本、11冊。
つげ忠男『宵の市』の素晴らしさが
火付け役となった。
山上たつひこ『人間共の神話』にも
中村明日美子『2週間のアバンチュール』にも
花輪和一『刑務所の前』3 にも圧倒された。
現在はデラックス版、
浦沢直樹『Monster』の
第4巻を読み終わったところ。
そこで「ヨハン」が卒倒した
チェコの童話の話が出てきて
ちらりと出てきたその内容に触発されて
うえのような「童話の試み」をしてみた。
東欧的にしようとおもったのに
どこか古代中国的になったかも。
残酷童話って、むずかしい。。。