まんがめがね
【まんがめがね】
詩は紫(し)をあつめ
ゆうぐれをただよう
猥おみんぐの井戸に
王のいるような予感で
あるくことはあつめること
だと犬のこころも折れた
まったくの草ばなしだ
だぶる場所に花ばなあれば
辞書の同音異義を
ばけつではこんで撒く
まんがめがねで眺める
此世のまあるい四角
それ見えなくして
おんなの精神開脚もない
いろいろと もぞもぞがいう
水紋があっちに向かっている
めでたさは薄荷ていど
終わっても舌で頬ふくらまし
わたがしのように抱き合う
尻を嗅いでたしかめたいが
ああなんて考えが犬めくのだ
宵のくちに螺子ばらばら
かんせつがあさってに外れる
身の森ならこうして枇杷で重い
犯行現場に似た六畳で
まんがめがねをとおせば
おっかさんもみんな姉
かしゃかしゃ思い出を刻んで
火車も青ざめる
おなにぃ幽霊となった