なきもののゆれ
【なきもののゆれ】
よみだす詩集を
手もとに立てたりせず
それでもそれを柱とするため
身がまえをかんがえることから
息のありかたをはじめる
それはうつわかもしれない
きんいろのほそいふち
そこへくちびるをよせるように
こころなどちぢめてゆくと
紙のなかにいる者が
なぜこれほどしたしいのか
なぜ点在がこれほど世界なのかと
きれいな鼓動が紙をうち
ときのうちがわがひらいてゆく
いろいろなすきまに
すでに終わったあさが
やわらかくただようから
ひとの足し算さえ了えたのだろう
わらっておさめようとする
この肩のうえで
なきもののゆれがかさなる