ゆげ
【ゆげ】
くりかえすよのなかで
うつくしいもののひとつが
ゆげかもしれない
かたちのなさがその形で
だとすればひろがりきえることも
もとの液体からはなれ
色をうしなってうまれるのも
ゆれていることさえ
すべて後悔とみえるから
よのなかのとおい花のめぐりにまで
ゆげをかんじてしまうとおもう
死にたがっているそのひとが水にふれれば
たちまちけむりにつつまれるようだが
もちろんなにももえていないのだ
まなこをみればわかる
ひとのやわらかさとはちがうゆげが
ただあなたとなって一刻
あなたの場所から立ちのぼる