石作
【石作】
天のすそがゆらめいていれば
ひとみから手をのばして下ろしにかかり
はては世界の脱衣という仕儀までも
ひそかにかんがえてしまうものだ
りんかくのない混色にうまれついた
なにかうごいたあとの風にすぎなかった
途中のようなところ、いわば踊り場で
月暈となり寝とまりをくりかえすと
ぬがすというのも雲がねがえりをうち
つぎつぎに橋が炎えて街がおち
みることが裏になってゆくにひとしい
みつめあっているときのあの無限を
みつめあえないもののどこにもとめるか
顔なきはだかの発する問とはそれだった
まはだかにさせてもその身は羽衣をまとい
まわりをめぐらせるだけの、月人だった