宿駅
【宿駅】
はじまりとうけるか
おわりととるかで
いつも駅はかおをかえた
レールのあるなしにかかわらず
しずかな駅を眼路おくにみて
使役馬のつなぎどころや
ふるびた跨線橋などで
せかいの中途が成るのを
かたじけなくかんじた
ひとひとりではなく
ゆくひとどうしが旅客なのも
あじさいのひかりやゆれのこと
いっさんにとりどりのみずを
のせてかえすなどもできず
まぼろしの歩廊は壜のかたちに
これからさきをながしていて
あてびとおとずれぬ宿駅の
こころげしきがいたくにじむ